【実例付き】スタートアップ向けピッチ資料の作り方|構成・6つの事例・無料テンプレートまで紹介

本記事では、ピッチコンテストやピッチイベントへの参加、資金調達を考えているスタートアップ・個人の方に向けて、実際のスライドと国内外6つの事例を見ながら、ピッチ資料の作り方(構成・デザイン)を解説します。無料でダウンロードできるテンプレートもご用意しました。

資金調達を考えているスタートアップにとって、短い時間で投資家や審査員を惹き付け、評価してもらえるかどうかは非常に重要なテーマです。本記事でしっかりとお作法を身に付け、あなたが望むビジネスを実現させましょう!

スタートアップ向けピッチ資料の作り方

なお、こちらは本記事でご紹介するピッチ資料の一例です。

本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
国内最大級のビジネスコンテストデータベース「ビジコンDB」の代表。外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などで勤務した後、ビジコンDBを設立。

ご自身で作成するのが難しい場合は、プロに依頼することもできますので検討してみてください!
費用がかかってしまうデメリットはありますが、AIなどを使って作成するよりも格段に「コンテストでの勝利」が近くなります。特に、コンテストの審査員は美しい資料を見慣れているため、手作り感のある資料は不利な戦いを強いられてしまいます。

勝てる資料作成|Business Jungleの資料作成サービス

目次

ピッチとは、特定のアイデア、製品、サービスを他者に対して短時間で効果的に説明することを指します。
主にビジネスの世界で使われる言葉であり、スタートアップや起業家が投資家などに自社のビジネスモデルや価値を伝える際に利用されます。

そして、ピッチ資料とは、事業のアイデアや強みを、投資家やピッチコンテストの審査員に短時間で伝え、「もっと話を聞きたい」「応援したい」と思ってもらうための資料です。事業計画書のように細部まで書き込むのではなく、要点を絞り、口頭の説明と組み合わせて使うことを前提にしている点が特徴です。

ピッチ資料の枚数は、10〜15枚程度が一般的な目安です。発表時間が5〜10分であれば、1枚あたり30秒〜1分で話せる量に収めるのが基本です。時間に対して枚数が多すぎると、早口になって要点が伝わらなくなります。

そして、ピッチコンテストでは、発表時間が募集要項で決まっていることがほとんどです。時間が短い場合は、本編の枚数を絞り、詳しい情報は「補足」スライドや別添資料にまとめましょう。

なお、基本となるスライドは次の12枚です。次の章で、実際のスライドを見ながらそれぞれの作り方を確認していきましょう。

  • 表紙
  • エグゼクティブサマリ
  • 目次
  • 製品・サービスの概要
  • 製品・サービスの詳細
  • 課題・ターゲット
  • 競合優位性・差別化
  • ビジネスモデル
  • 収益計画・市場規模
  • 将来性
  • 補足
  • 裏表紙

さて、この記事をご覧になっているスタートアップ・個人の皆さまは「どのようなピッチ資料を作ればいいの?」と気になっていることでしょう。もったいぶらず、早速ピッチ資料の構成・デザインについて、実際のピッチ資料を参照しながら学んでいきましょう!

なお、ご紹介するのはあくまで参考です。あなたが考えている製品・サービスの内容や、ピッチコンテストの目的などを踏まえ、ぜひオリジナル資料にアレンジしてみてください。

表紙

どのようなピッチ資料でも表紙は必要です!
重要なのはとにかくインパクトを出して、「このピッチ資料イケてるかも!」「なんだか期待できそうだな!」という印象を投資家に持ってもらうことです。製品・サービスをイメージできる画像を使用したり、大きな文字・小さな文字でメリハリをつけた構成・デザインを採用するのも面白いでしょう。

エグゼクティブサマリ

短い時間で要点を伝えなければいけないピッチにおいて、エグゼクティブサマリは必須の要素です!
数十枚にわたるピッチ資料を1枚で表現することが本スライドの目的であり、「このスライドだけ読めばOK!」になることを目指してください。創業者の画像や経歴を載せて、情熱を伝えることも一案でしょう。

目次

ピッチ資料の枚数が5枚程度であれば不要ですが、10枚以上ある場合は目次があったほうが親切です!
多くのピッチ資料では、目次はシンプルな構成・デザインになっていることが一般的です。もしピッチコンテストにおける審査基準が開示されている場合は、どの目次項目が、どの審査基準に該当するのか明示してもいいでしょう。

製品・サービスの概要

まずは、製品・サービスの概要について1スライドでしっかりと説明しましょう!
文字量はできる限り少なく、「どんな製品・サービスなのか?」に絞って表現します。写真やイラストを使うことで、投資家に対してインパクトを与えることが可能です。

製品・サービスの詳細

必須ではありませんが、「概要」スライドで説明しきれない場合は詳細を補足するのもよいでしょう!
ここでも余分な情報は載せず、大きな特徴などに絞って言及するようにしましょう。

課題・ターゲット

製品・サービスについての説明が終わったら、誰の・どのような課題を解決することができるのか示してください!
特にピッチで資金を調達できるようなスタートアップ・個人は、投資家をワクワクさせる必要があります。日常のほんの小さな課題ではなく、社会的に大きなインパクトのある課題・ターゲットを設定するようにしましょう。

競合優位性・差別化

競合に対してどのような優位性を持つのか、どのように差別化されているのかに関する説明も必要不可欠です!
よく使用されるのは市場を2軸で分割し、その中で競合をマッピングするやり方です。「競合はいません!」と断言するピッチ資料も多いですが、そのような市場は現代においてほとんどないため、説得力を加えるためにも必ず競合をマッピングするようにしてください。

ビジネスモデル

「誰から」「どのように」「いくら」徴収するのかという、儲け方も忘れないようにしましょう!
構成・デザインは自由ですが、人や製品・サービスやカネの関係性が分かるように図を使うことをおすすめします。以下の事例スライドでは、収入源(誰から徴収するか)に応じてスライドを分けることで、容易に理解できるように工夫しています。

収益計画・市場規模

取り扱う製品・サービスの収益計画・市場規模を投資家に提示することも必須でしょう!
ここで注意すべきポイントは、課題・ターゲットの説明と同様に「投資家をワクワクさせられるような規模か?」という点です。売上や市場規模が1億円程度では投資家はワクワクしません。目安として、最低でも売上は10億円以上、市場規模は100億円以上になるように設計してください。

将来性

現状のビジネスだけでなく、将来的にどのような成長を見込むことができるのかという点も記載しましょう!
5年後・10年後・20年後も市場に受け入れられるビジネスなのか、定量的な根拠を持って投資家を説得する必要があります。

補足

直接説明が可能なピッチでは見かけませんが、書類選考に向けてピッチ資料を作成する必要がある場合、補足スライドを設けても良いでしょう!
例えば想定されるQ&Aを箇条書きで記載したり、収益計画の詳細についてExcel形式で説明するケースが多く見受けられます。ご自身が作成するピッチ資料の目的に応じて、そもそも補足が必要か、必要ならばどのような内容を盛り込むかを考えましょう。

裏表紙

裏表紙もお作法として必要です!
表紙と違ってシンプルな構成・デザインで問題ありませんが、代表者氏名、会社名、電話番号、メールアドレスなど、必要な情報があれば合わせて記載するようにしましょう。

前の章で紹介した12枚のスライドに加えて、投資家からよく見られるスライドを7つ紹介します。すべてを入れる必要はありません。ピッチの目的や発表時間に合わせて、取捨選択してください。

なぜ今なのか

「なぜこの事業を、いま始めるのか」を説明するスライドです。法改正、技術の進歩、生活習慣の変化など、市場にタイミングの変化が起きていることを示すと、投資家は「今なら伸びる」と判断しやすくなります。優れたアイデアでも、タイミングが合わなければ投資家は動きません。変化を示す具体的な出来事や数字を、1〜2点に絞って載せましょう。

ユニットエコノミクス(顧客1人あたりの収益性)

顧客を1人獲得するのにいくらかかり(獲得コスト)、その顧客から長期的にいくら稼げるか(生涯価値)を示すスライドです。獲得コストよりも生涯価値が十分に大きければ、事業を拡大するほど利益が出る構造だと伝わります。数字が固まっていない創業初期は、仮説であることを明記したうえで、試算の根拠を添えましょう。

実績・トラクション

売上、利用者数、契約社数、受賞歴など、事業が実際に前進している証拠を示すスライドです。数字は「推移」で見せると効果的で、直近数か月の伸びが分かるグラフにすると説得力が増します。実績が少なくても、事前登録数、ヒアリング件数、試作品のテスト結果など、小さくても事実を積み上げて示しましょう。

顧客の声・導入事例

実際に使った人の声や、導入先の事例を載せるスライドです。掲載の許可が取れていれば実名で、難しければ業種・規模などの属性で紹介します。数字では伝わりにくい満足度や、選ばれる理由を補強できます。誇張はせず、できるだけ具体的なコメントを選びましょう。

チーム紹介

スタートアップほど、「この人たちなら実現できる」と思ってもらえるかが重要です。創業メンバーの経歴、事業に関連する経験、役割分担を簡潔に示しましょう。足りないスキルがある場合は、アドバイザーや協力者を併記すると、補完体制が伝わります。顔写真を入れると、親近感と信頼感が増します。

資金調達額と使途

資金調達が目的のピッチでは、必ず入れたいスライドです。いくら調達したいのか、その資金を何に使うのか(開発、採用、マーケティングなど)、調達後にどんな状態(売上・ユーザー数など)を目指すのかを示します。使途の内訳と達成したい目標をセットで示すと、資金が成長に直結することが伝わります。

クロージング

発表の締めくくりとして、最も伝えたいメッセージと、相手にとってほしい次の行動(面談の依頼、出資の検討、提携の相談など)を示すスライドです。連絡先を載せる裏表紙とは異なり、クロージングは「最後にもう一度、事業の価値と今後の方向性を伝える」役割を持ちます。

実際の事例を通して、スタートアップにおけるピッチ資料の構成・デザインはイメージできたでしょうか?
しかし、ピッチ資料を作成する際は、色々と気を付けるべき注意点があります。この章では、そうしたポイントについてしっかり理解し、ピッチ資料の作成手順について学んでいきましょう。

何を目的として、誰にピッチ資料を見せるのか?

闇雲にピッチ資料を作り始めてしまうと、最終的に「結局よく分からない資料になってしまった」という失敗に繋がってしまいます。

スタートアップがピッチ資料を作成する目的が書類選考の通過ということであれば、対面での説明よりもピッチ資料上の情報量を増やし、説明しなくても理解できる資料に仕立てる必要があります。あるいは採用ピッチ資料であれば、採用候補者がワクワクするような資料にする必要があります。
ピッチ資料を投資家に見せる場合、投資家が気にする「本当に儲かるのか?」という要諦を押さえたピッチ資料に仕立てるべきです。

このように、どのような目的で、誰に対するピッチ資料を作成するのかに応じて、資料に盛り込むべき内容が大きく異なってきます。実際に手を動かし始める前にしっかりと考えるようにしましょう。

ピッチ資料の構成・デザインはどうすべきか?

スタートアップのよくある間違いが、1スライドずつ順番にピッチ資料を作り込んでしまうことですが、これは完全にNGです。

そのようにピッチ資料を作成してしまうと、資料全体のストーリーに一貫性がなくなり、結局何を伝えたいのかよく分からない資料が出来上がってしまいます。ピッチ資料を作成する際は、必ず各スライドに何を書くかを明確にしてから、つまりスライドのタイトルとメッセージ(スライドで何を伝えたいのか)を明確にしてから、各スライドを作り込むように心がけましょう。

投資家(エンジェルやベンチャーキャピタル)などは、コンサルティング会社や投資銀行出身者が多く、こうしたお作法にこだわりがある方も多数在籍されているため、必ずストーリーが一貫したピッチ資料を作るようにしてください。

ピッチ資料の中身はどのような内容にすべきか?

ピッチ資料の構成・デザインが決まった後は簡単で、各スライドのタイトル・メッセージに合わせてスライドの内容を作り込んでいきましょう。

ここで「うーん、このスライドの内容はどうしよう」というお悩みが出てきたら危険信号です。それは、前述の構成・デザインが練り込まれていないということですので、そうなった時点で構成・デザインを見直す癖をつけましょう。

また、スライドの中身を作りきった後はへとへとになっていると思いますが、必ず数回の見直しを行ってください。誤字脱字があるだけで、投資家からは「このスタートアップは大丈夫なのか?」という不信感を持たれてしまいます。可能であれば、家族や友人、同僚など、第三者の目を通すことをおすすめします。

なお、ピッチ資料を作成する際は、AIなどを活用しながら自分の手で作成する方もいるかと思います。
十分な資料作成スキルのある方はそれで問題ありませんが、本気で勝ちに行く際は後述するテンプレートを活用したり、プロの力に頼ってみてもよいと思います。とにかく、「勝つためにはどうすればいいか?」から逆算した行動ができればOKです。

勝てる資料作成|Business Jungleの資料作成サービス

それでは、ピッチ資料を通して投資家や審査員を説得するためには、何に注意すればいいのでしょうか。

投資家は、限られた時間で数多くの案件を見ています。資料を作り込む前に、投資家がどこを見て「会ってみたい」「投資したい」と判断するのかを押さえておきましょう。ここでは、特に重視されやすい5つのポイントを紹介します。

市場の大きさと成長性

事業がうまく進んでも、市場そのものが小さければ、投資家が期待するような大きなリターンは見込めません。そのため、狙う市場の規模と、今後どのくらい伸びていくのかを必ず確認されます。市場規模は、公的な統計や調査会社のレポートなど、出典が明らかな数字で示しましょう。大きな市場全体の数字だけでなく、自社が実際に獲得できる範囲まで落とし込んで示すと、現実味が増します。

課題の切実さと解決策の独自性

解決しようとしている課題が本当に深刻で、多くの人が困っているかどうかが見られます。「あったら便利」程度の課題では、お金を払ってもらえないからです。そのうえで、提案する解決策が既存の手段よりも明確に優れているか、他社が簡単に真似できないかも確認されます。課題の深刻さは、顧客へのヒアリング結果や具体的なエピソードで示すと伝わりやすくなります。

ビジネスモデルの収益性

「誰から、どのように、いくら受け取るのか」が明確かどうかが見られます。あわせて、事業が大きくなるほど利益が出る構造になっているかも重要です。売上が増えてもコストが同じように増えていく仕組みでは、投資家は魅力を感じません。収益の仕組みは、図で示すと一目で理解してもらえます。数字が仮説の場合は、その根拠も添えましょう。

チームの実行力

特に創業初期のスタートアップでは、アイデアそのものよりも、「このチームがやり切れるか」が重視されることが少なくありません。メンバーの経歴や、事業に関連する経験、役割分担が明確かどうかが見られます。事業にかける本気度や、困難があっても続けられるかという点も、発表の姿勢から判断されます。不足しているスキルがある場合は、その補い方を説明できると安心感につながります。

数字の根拠と実績

数字の大きさよりも、「その数字にどんな根拠があるのか」が重視されます。売上や市場規模の予測が大きくても、根拠が示されていなければ信頼されません。売上、利用者数、継続率、顧客へのヒアリング結果など、実際の成果で裏付けましょう。実績が少ない段階でも、これまでの検証で分かったことと、今後の検証計画を示せば、堅実な姿勢が伝わります。

ここでは、日本のスタートアップのピッチ資料を3社紹介します。海外の有名企業よりも身近で、自分の資料に取り入れやすいはずです。それぞれ、実際のスライドと、無料でダウンロードできるテンプレートを掲載しています。

自治コン

冒頭スライドでもご紹介したように、自治コンは、自治体が自由にビジネスコンテストを開催できるプラットフォームです。この資料は、最初に市場の課題を示し、その解決策として自社のサービスを提示する、分かりやすさ重視の構成です。そのあとに裏付けとなる情報を並べているため、初めて見る人でも直感的に理解しやすい資料になっています。

Business Jungle

スタートアップ支援を行うBusiness Jungleの資料です。インパクトよりも、情報を段階的に積み上げる構成が特徴です。事業が目指す姿から始まり、市場・競合の分析と自社の戦略、そして活動計画・財務計画へと進み、論理的に納得してもらう流れになっています。投資家や金融機関など、じっくり読む相手に向いた作りです。

Wellbeing Lab

AIを活用した健康増進サービスを提供するWellbeing Labの資料です。資料の後半に、実績・チーム体制・資金調達額と使途をまとめているのが特徴で、創業間もない企業が「どう信頼してもらうか」を意識した構成になっています。

ここまで国内の事例を見てきました。続いて、誰もが知る世界の有名企業が、実際にどのようなピッチ資料を用いていたのかを学びましょう。

Airbnb

今や知らない人はいないサービスですが、最初は他のスタートアップと同様、小さな企業でした。
これはAirbnbが2008年にSequoia Capitalから60万ドル(6,000万円以上)を獲得したピッチ資料です。

Tinder

次はオンラインマッチングアプリのパイオニアであるTinderのピッチ資料です。
余計な説明は一切なく、口頭での補足に重点を置いた資料であることが読み取れますね。

Linkedin

2004年に1,000万ドル(10億円以上)を調達したLinkedinのピッチ資料もお見せしておきましょう。
各種定量分析をはじめ、よく練り込まれた資料です。書類選考用にも使用された可能性がありますね。

ここまでで、事例についてもしっかりと学ぶことができました。しかしながら、ピッチ資料を作成する際はいくつかの「落とし穴」に気を付けなければいけません。

ピッチ資料は、内容が良くても、作り方次第で伝わらなくなってしまうことがあります。ここでは、スタートアップやピッチコンテストの参加者に多く見られる6つの失敗を紹介します。自分の資料に当てはまっていないか、ぜひ確認してみてください。

情報を詰め込みすぎる

伝えたいことが多いほど、つい1枚のスライドに詰め込みたくなります。しかし、文字や図が多いスライドは、聞き手が「読むこと」に集中してしまい、話が耳に入らなくなります。結果として、一番伝えたかったことが記憶に残りません。1つのスライドで伝えるメッセージは1つに絞りましょう。詳しい情報は、補足スライドや別添資料に回すのが基本です。

「競合はいない」と書いてしまう

「競合はいない」と言い切る資料は、市場が存在しない、または調査が足りないと受け取られがちです。直接の競合となるサービスがなくても、顧客が今、その課題を解決するために使っている代替手段は必ず存在します。それらを競合として整理したうえで、自社がどう優れているのかを示しましょう。競合を正しく把握していることは、事業を理解している証拠にもなります。

市場規模を根拠なく大きく見せる

日本全体の市場規模など、大きな数字だけを載せて、自社が実際に獲得できる範囲を示していない資料が多く見られます。これでは、「本当にそんなに売れるのか」と疑われてしまいます。狙う顧客の数に単価を掛けるなど、自社の事業から積み上げた数字もあわせて示しましょう。大きな市場と、現実的な目標の両方を示すことで、説得力が高まります。

ストーリーがバラバラになる

最初から1枚ずつ順番に作り込むと、途中で内容が変わり、全体の流れに一貫性がなくなってしまいます。先に、スライドの順序と、各スライドで伝えたいメッセージ(タイトル)を決めましょう。全体の流れが「課題から解決策、そして将来へ」と自然につながっているかを確認してから、中身を作り込むと、手戻りを防げます。

チームの強みが伝わらない

メンバーの経歴を並べるだけでは、「なぜこのメンバーがこの事業をやるべきなのか」が伝わりません。大切なのは、経歴と事業との結びつきです。たとえば、過去の経験が事業の課題にどう関係しているのか、どんな強みが事業の成功につながるのかを説明しましょう。役割分担も具体的に示すと、事業を実行できるチームだと判断してもらいやすくなります。

誤字脱字・数字の不整合

誤字脱字や、スライドによって数字が食い違っていると、「この会社は細部まで管理できているのか」と不信感を持たれてしまいます。特に、売上や市場規模などの数字は、投資判断に直結する重要な情報です。提出や発表の前に、必ず見直しを行い、できれば第三者にも確認してもらいましょう。自分では気づきにくいミスを見つけてもらえます。

ここまでに学んだピッチ資料の作り方を、実際の場で試すこともできます。
ピッチコンテストやピッチイベントについて、意味や種類、メリットから知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

また、実際に参加できるピッチコンテスト・ピッチイベントを調べたい方は、こちらの一覧をご覧ください。

最後に、ピッチ資料の作り方についてよくいただく質問をまとめました。作成の途中で迷ったときの参考にしてください。

Q. ピッチ資料は何枚が適切ですか?
10〜15枚程度が目安です。発表時間が5〜10分なら、10枚前後に絞るとちょうど良いでしょう。時間が短い場合は、枚数を減らし、詳細は補足スライドにまとめます。

Q. ピッチ資料とピッチブックは同じものですか?
ほぼ同じ意味で使われることもあります。ピッチブックは、相手を説得する提案資料の総称で、もともとは投資銀行・M&Aの現場で使われてきた言葉です。スタートアップでは、投資家や審査員向けの資料をピッチ資料と呼ぶことが多く、ピッチブックと呼ぶこともあります。詳しくは、以下の記事をご覧ください。

Q. PowerPoint以外のツール(Googleスライド、Canvaなど)でも良いですか?
問題ありません。ただし、提出形式(PDFなど)の指定がある場合は、事前に募集要項を確認してください。

Q. テンプレートを使っても良いですか?
使って構いません。ただし、そのまま使うと他の資料との差が出にくいため、自社の色や事業内容に合わせてアレンジしましょう。

Q. 英語版のピッチ資料は必要ですか?
海外の投資家や国際コンテストに挑戦する場合は必要です。国内のみが対象であれば、必須ではありません。

Q. 資金調達以外の目的でも、同じような構成の資料で良いですか?
基本の構成は同じで構いません。ただし、審査基準、発表時間、書類選考の有無に合わせて調整が必要です。審査基準が公開されている場合は、基準に沿った順序や強調点にしましょう。

Q. 採用ピッチ資料との違いは何ですか?
採用ピッチ資料は、応募者に向けて会社の魅力を伝える資料です。本記事で扱うのは、投資家やピッチコンテストの審査員に事業の価値を伝える資料で、構成も異なります。

本記事ではピッチ資料の作り方について、実際のスライドと国内外6つの事例、追加で盛り込みたいスライド、投資家が見るポイントや失敗例を交えて解説させていただきました。

ピッチコンテスト・ピッチイベントに参加し、投資家からの資金調達などを実現するためには、しっかりしたピッチ資料を作成して挑む必要があります。なかなかハードルが高いと感じるかもしれませんが、テンプレートも活用しながら、ぜひ挑戦してみてください。

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ご自身で作成するのが難しい場合は、プロに依頼することもできますので検討してみてください!
費用がかかってしまうデメリットはありますが、AIなどを使って作成するよりも格段に「コンテストでの勝利」が近くなります。特に、コンテストの審査員は美しい資料を見慣れているため、手作り感のある資料は不利な戦いを強いられてしまいます。

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