ビジネスプランを作りたいけれど、肝心のアイデアが思いつかない。どんなアイデアを選べばよいのか、分からない。そんなときは、ひらめきを待つよりも、決まった切り口から探すほうが、早く見つかります。
この記事では、ゼロからアイデアを発想する5つの切り口と、それぞれの切り口で考えたアイデア例を、合計10個紹介します。アイデアを事業として成り立つ形に落とし込む手順と、アイデアを絞り込むときのチェックポイントも、あわせて解説します。

.png)
本記事の監修 松浦英宗(まつうらえいしゅう)
国内最大級のビジネスコンテストデータベース「ビジコンDB」の代表。外資系戦略コンサルティング会社(アーサー・ディ・リトル・ジャパン)などで勤務した後、ビジコンDBを設立。
目次
ビジネスプランのアイデアが思いつかないときは?
ビジネスプランとは、どのような事業を、誰に向けて、どのように提供し、どうやって収益を上げるのかを、まとめた事業の設計図です。その出発点になるのが、事業のアイデアです。
アイデアが思いつかないと感じる人は、「誰も思いつかないような、斬新なもの」を探していることが少なくありません。しかし、実際に事業になっているアイデアには、特別なひらめきではなく、身近な困りごとに気づいたり、すでにあるサービスに新しい要素を足したりすることから生まれたものも、数多くあります。
そこで、アイデアの探し方を、5つの切り口に整理しました。自分に合った切り口を選んで、考えてみてください。
実際に評価されたアイデアを見るのも、ヒントになります。受賞作品は、以下の記事で解説しています。
ゼロから発想する5つの切り口と、アイデア例10選
ビジネスプランのアイデアは、次のような切り口から考えていくのが、出発点になります。それぞれの切り口で、どのようにアイデアが生まれるのかを、具体例とあわせて紹介します。
切り口1:困りごとから発想する
自分や、身近な人が、日常で感じている不便や不満が、出発点です。「なんでこんなに面倒なのだろう」と感じた場面に、事業のヒントがあります。毎日のように起きる困りごとや、多くの人が同じように困っていることほど、事業になりやすい課題です。
「最近、不便だと感じた場面は?」「家族や友人が、よく愚痴をこぼしていることは?」「『誰かが代わりにやってくれたら』と思った作業は?」。思いついたことを、そのまま書き出してみましょう。
アイデア例:一人暮らしの高齢者の、買い物の代行と見守り
一人暮らしの高齢者が、重い荷物を運ぶ買い物に苦労していることや、離れて暮らす家族が、様子が分からず心配していることに気づくかもしれません。ここから、「買い物を代わりに行い、そのついでに、様子を家族に伝える」サービスなどを考えることができます。
アイデア例:子どもの習い事の、送迎を分担するアプリ
共働きの家庭で、習い事や部活の送迎が、毎週の負担になっていることに気づくかもしれません。同じ習い事に通う近所の保護者も、同じ悩みを抱えていると考えると、送迎の分担を、アプリで調整するアイデアなどを考えることができます。
切り口2:好き・得意から発想する
自分の趣味やスキルが、誰かの役に立たないかを考える切り口です。自分にとっては当たり前の得意なことが、他の人にとっては、お金を払ってでも頼みたいことである場合があります。
「人から、よく頼まれることは?」「時間を忘れて取り組めることは?」「人より早く、上手にできることは?」。自分では当たり前と思っていることほど、見落としやすいので、身近な人に聞いてみるのも有効です。
アイデア例:学生のスキルを、小さな事業者につなぐサービス
動画編集やデザインなど、自分の得意なことを、誰かの役に立てられないかと考えてみましょう。個人商店などの小さな事業者が、制作会社に頼むには費用が高く、困っていることに気づくかもしれません。ここから、学生と事業者を、小さな依頼の単位でつなぐサービスなどを考えることができます。
アイデア例:趣味の技能を教えたい人と、学びたい人をつなぐ小さなオンライン教室
楽器、ハンドメイド、料理など、自分が得意なことを、人に教えられないかと考えてみましょう。教える場を探している人と、気軽に習いたい人がいることに気づくかもしれません。ここから、少人数のオンライン教室を、簡単に開ける仕組みなどを考えることができます。
切り口3:既存のサービスに、何かを掛け合わせる
すでにあるサービスに、新しい要素を足す切り口です。定期便にする(サブスク)、地域に絞る、使い終わったものを再利用するなど、「掛け算」を考えます。需要があることが分かっている分、ゼロから考えるより、取り組みやすい切り口です。
「よく使うサービスで、不満な点は?」「そのサービスを、定期便・地域限定・再利用などに変えたら?」「別の業界で当たり前のことを、この業界に持ち込めないか?」。不満な点が見つかったら、そこを解決する要素を、足してみましょう。
アイデア例:一人ひとりに合わせた栄養サポートの定期便
栄養サポートのサービスやサプリメントは、すでに数多くあります。そこに、「一人ひとりに合わせる」「定期便にする」という要素を掛け合わせてみてはどうでしょうか。個別の栄養サポートを、定期的に届けるサービスなどを考えることができます。
アイデア例:使わなくなった服を、デザインし直して売るサービス
中古品を売り買いするサービスは、すでに普及しています。そこに、「作り変えて、新しい価値を足す」というアップサイクルの要素を掛け合わせてみてはどうでしょうか。着なくなった服を、デザインし直して売る、他と違うサービスなどを考えることができます。
切り口4:社会の変化から発想する
人手不足、高齢化、環境への意識の高まりなど、社会の変化に着目する切り口です。変化によって、新しい困りごとや、需要が生まれます。ニュースや、身の回りの変化を見て、「その結果、誰が困るのか」を考えてみましょう。
「ニュースで、よく目にする社会の変化は?」「その変化で、新しく困る人は誰か?」「その人が、今、我慢していることは?」。変化そのものではなく、その影響を受ける人に注目すると、具体的なアイデアになります。
アイデア例:中小企業向けの、AIを使った事務作業の自動化支援
人手不足で、請求書や見積書の作成などの事務に、時間を取られている中小企業が多いことに気づくかもしれません。AIで事務作業を自動化する技術が広がっていることと掛け合わせると、導入と使い方を、手頃な価格で支援するサービスなどを考えることができます。
アイデア例:空き家を活用した、地域の交流・作業スペース
空き家が増えている地域では、使われない建物がある一方で、人が集まる場所が少ないという変化に気づくかもしれません。ここから、空き家を改装して、作業スペースや、交流の場として貸し出すアイデアなどを考えることができます。
切り口5:地域の資源から発想する
自分の住む地域にある、特産品、自然、歴史、人などの資源を、活かす切り口です。その地域に住んでいる人だからこそ気づける価値や、人とのつながりが、強みになります。
「地元にあって、外の人があまり知らないものは?」「地域の人が、困っている、または、持て余しているものは?」「地域の人と、新しくつなげたいものは?」。地域の人に話を聞くと、外からは見えない資源に気づけます。
アイデア例:地域の特産品と体験を組み合わせた、観光ツアー
地域の特産品や、生産者の魅力が、観光客に十分に伝わっていないことに気づくかもしれません。収穫や加工を、観光客が体験できるツアーにすると、生産者と観光客をつなぐサービスなどを考えることができます。
アイデア例:地域の学校や企業と連携した、地域特化のオンライン学習
全国向けの学習サービスでは、地域の産業や文化を学ぶ機会が少ないことに気づくかもしれません。地域の企業や学校と協力して、その地域の仕事や文化を学べる教材を作る、といったアイデアなどを考えることができます。
なお、学生の視点でのアイデア例は、以下の記事で紹介しています。
自分に合った切り口の選び方
どの切り口から始めればよいか迷ったら、自分の関心や、日ごろ気になっていることに近いものを選んでみてください。
日常で、不便や不満によく気づく人は「困りごと」、得意なことや続けている趣味がある人は「好き・得意」、すでにあるサービスをよりよくしたい人は「既存のサービスへの掛け算」、ニュースや世の中の動きに関心がある人は「社会の変化」、地元や特定の地域に思い入れがある人は「地域の資源」から考えるのが、おすすめです。
アイデアの発想に使える考え方
切り口を選んでも、なかなか候補が出ないときは、次の3つの考え方を使ってみてください。どの切り口で考えるときにも使える、アイデアを広げるための方法です。
「掛け算」で考える
自分の得意なことや関心のあることと、困っている人を、掛け合わせて考える方法です。たとえば、「料理が得意」と「一人暮らしの高齢者」を掛け合わせると、手作りの食事を届けるサービスが考えられます。まず、自分の得意なことと、困っている人を、それぞれ書き出し、思いつく組み合わせを、いくつか試してみましょう。
「なぜ」を繰り返して、本当の課題を探す
困りごとを見つけたら、「なぜ、そうなるのか」を、何度か繰り返して、原因を掘り下げます。たとえば、「習い事の送迎が大変」という困りごとに、「なぜ?」と問うと、「時間が合わない」「他の家事と重なる」といった、本当の課題が見えてきます。原因が分かると、解決策の方向も、変わります。
「もし〜だったら」で、条件を変えてみる
今のアイデアに、条件を変える問いを投げかけて、新しいアイデアを生みます。「もし、対象を高齢者に絞ったら」「もし、1人で運営するとしたら」「もし、無料で提供するとしたら、どこで収益を得るか」などです。条件を変えると、思いがけない形のアイデアが見つかります。
アイデアを事業に落とし込む手順
アイデアの候補ができたら、次は、事業として成り立つ形に整理します。次の5つのステップで、進めてみてください。
ステップ1:誰の、どんな課題かを確認する
アイデアの出発点になった課題が、本当にあるのかを、確認します。想定する利用者に、3〜5人ほど話を聞き、その課題を、どのくらいの頻度で、どのくらい強く感じているのかを、確かめましょう。「誰が、いつ、どんなことに困っているのか」を、短く書けるようにしておきます。
ステップ2:解決策を、短い言葉で説明できるようにする
「誰の、どんな困りごとを、どう解決するのか」を、短い言葉で説明できるようにします。短く説明できないときは、解決策が複雑すぎるか、課題が絞れていない可能性があります。最初は、機能を絞って、最もシンプルな形から考えましょう。
ステップ3:誰が、どのようにお金を払うのかを決める
事業として続けるには、収益の仕組みが欠かせません。サービスを使う人から料金をもらうのか(月額や、都度払い)、使う人とは別の人(企業や自治体など)が費用を負担するのか、取引ごとの手数料をもらうのかを、決めます。想定する料金が、利用者にとって妥当かも、あわせて確認しましょう。
ステップ4:小さく試して、反応を確かめる
いきなり本格的に作らず、手作業や、簡単な方法で、実際に試してみましょう。たとえば、アプリを作る前に、チャットで依頼を受けて、手作業でこなしてみる方法があります。10人ほどに使ってもらい、「また使いたいか」「お金を払ってもよいか」「他の人にすすめたいか」を、確認します。
ステップ5:ビジネスプランにまとめる
試した結果を踏まえて、課題、解決策、市場、競合、収益の仕組みなどを、ビジネスプランに整理します。書き方の基本構成と、有名企業の実例は、以下の記事で紹介しています。
アイデアを絞り込むチェックポイント
アイデアの候補がいくつかできたら、そのまま進めるのではなく、複数の視点で比べて、最も有望なものを選びましょう。ここでは、課題の切実さ、お金を払う人の有無、自分がやる理由、小さく始められるかの、4つの視点を紹介します。それぞれの視点で、候補に点数をつけて比べると、判断しやすくなります。
課題が切実か
その課題で、利用者は、どのくらい困っているでしょうか。困っていなければ、解決策がよくても、使ってもらえません。「なくても、特に困らない」と言われないかを、確認しましょう。
お金を払う人がいるか
課題があっても、お金を払ってまで解決したい人がいるとは限りません。誰が、いくらなら払うのかを、具体的に想像できるかを、確かめます。
自分がやる理由があるか
事業は、続けることが大切です。自分の経験や、強い関心があるアイデアは、困難があっても、続けやすくなります。また、審査や出資の場でも、「なぜ自分がやるのか」を、説得力を持って語れます。
小さく始められるか
最初から、大きな資金や、時間がかかるアイデアは、試しにくく、失敗の影響も大きくなります。今週中に、小さく試せる方法があるかを、確認しましょう。
アイデアの候補ができたら、ビジコンDBの「アイデアの無料AI診断」で、客観的な評価を確認することもできます。絞り込みの参考として、ご活用ください。

アイデアが固まったら、実際にコンテストで試してみるのも一つの方法です。
実際に評価されたアイデア
ビジネスコンテストで優勝したアイデアにも、身近な課題や、自分の経験から生まれたものがあります。たとえば、高校生が、SNSの悪い面を、日本の強みである漫画で解決するアプリを考えて、全国大会でグランプリを受賞した例や、大学生が、自分で運営するゲストハウスでの経験から、体験を基準に宿を選べるサービスを考えて、優勝した例があります。
社会人でも、犯罪から子どもを守るAI防犯アプリを考えて、東京都が主催するコンテストで最優秀賞を受賞した例があります。優勝した事例の詳細は、以下の記事で紹介しています。
よくある質問
ビジネスプランのアイデアについて、よくある質問をまとめました。チェックリストとして、ご活用ください。
Q. アイデアが思いつかないときは、どうすればよいですか?
ひらめきを待つのではなく、切り口から探してみましょう。5つの切り口のうち、自分に合うものを選んで、考えてみてください。身近な人に、「最近、困っていること」を聞くのも、有効です。
Q. 学生でも取り組みやすいアイデアはありますか?
学生は、時間があることや、同世代の困りごとが分かることが、強みです。この記事の例では、「学生のスキルを、小さな事業者につなぐサービス」や、「趣味の技能を教えたい人と、学びたい人をつなぐ、小さなオンライン教室」などが、小さく始めやすい例です。大きな資金が必要なアイデアより、手作業で試せるものから始めるのが、おすすめです。
Q. アイデアが、すでにあるサービスと被っていたら、どうすればよいですか?
同じようなサービスがすでにあること自体は、需要がある証拠でもあり、問題ではありません。対象を絞る、地域に絞る、価格や提供方法を変えるなど、既存のサービスとの違いを、はっきりさせましょう。
Q. ビジネスプランのアイデアは、何個ぐらい出せばよいですか?
最初は、質よりも量を意識して、10個ほど出してみるのがおすすめです。数を出すと、似たものや、組み合わせられるものが見つかります。そこから、3つほどに絞って、詳しく検討していきましょう。
Q. 趣味や好きなことは、事業になりますか?
事業になる場合もありますが、好きなだけでは、続きません。そのことで困っている人や、お金を払ってでも頼みたい人がいるかを、確かめる必要があります。まず、友人や知人に、試しに提供してみるとよいでしょう。
Q. 実現できるか分からないアイデアでも、ビジネスプランにしてよいですか?
問題ありません。ビジネスプランは、実現できるかを、検証するために作るものでもあります。課題、解決策、収益の仕組みを書き出すと、足りない点や、確かめるべき点が見えてきます。それを、小さく試しながら、確かめていきましょう。
Q. アイデアは、人に話しても大丈夫ですか?
一般に、アイデアそのものよりも、それを実行し続けることのほうが、難しいといわれます。早い段階で、身近な人に話して、感想や指摘をもらうほうが、メリットは大きいでしょう。ただし、秘密にすべき情報や、提出先の規約がある場合は、事前に確認してください。
Q. 考えたアイデアは、どこで試せますか?
ビジネスコンテストに応募すると、審査員から、アイデアへの評価やアドバイスを受けられます。ビジコンDBでは、応募できるコンテストを、一覧で紹介しています。以下の記事では、ピッチコンテストやピッチイベントを、まとめて紹介しています。
Q. 面白いアイデアの例には、どのようなものがありますか?
面白さよりも、「誰の、どんな困りごとを解決するのか」が分かりやすいものが、事業になりやすい傾向があります。この記事で紹介した10個のアイデアは、いずれも、課題と解決策が、短い言葉で説明できる形です。実際に評価された事例は、以下の記事で紹介しています。
まとめ
ビジネスプランのアイデアは、ひらめきを待たなくても、切り口から探せます。困りごと、好き・得意、既存のサービスへの掛け算、社会の変化、地域の資源の5つの切り口から、自分に合うものを選び、候補を出しましょう。そして、課題・解決策・収益の仕組みを確認し、小さく試しながら、事業の形に近づけていきます。
アイデアが固まったら、ビジネスコンテストで、試してみてください。ビジコンDBでは、応募できるコンテストを、対象者別に一覧で紹介しています。自分に合ったコンテストを見つけて、ぜひ挑戦してみてください。
【2026年最新版!! 対象者別 参加できるコンテストまとめ】
条件を絞り込んで参加できるコンテストを見つけたい方は、こちらから検索してみてください!
コンテストに応募する前に、自分のアイデアの評価を知ることができる「アイデアの無料AI診断」を、ビジコンDBでは無料でご用意しています。事業アイデアを客観的に見直したい方は、ぜひご活用ください。












.png)


